『嘘つき兎娘の物語』

 これからお話ししますのは、周囲に居る者を・あらゆる他者を、
別け隔てなく幸せにする事を運命付けられた、ある可哀そうな
兎娘の物語でございます。

 その兎娘は、あるとき、飢えて疲れた旅人を癒すために、自分
にはなにも旅人に分け与える物がないからと、自らの身を喰べて
もらえるように、旅人の焚き火の中に身を投じたのですが、その
考えは失敗だったのでございます。

 かつて、東南亜細亜の国々で、暴政に抗議して焼身自殺を
図る僧侶がおりましたが、人一人焼くには全身が浸るほどの
瓦斯燐(がそりん)が必要だったのです。

 旅人一人が温まる程度の焚き火では、そう簡単に兎一匹即死
する程焼けるものではありませぬ。

 火に飛び込んだ兎は死んでも死に切れず、皮膚の表面をジュク
ジュクと焼け爛れさせ、悶え苦しみ、断末魔の痙攣ショーを
旅人の目の前で繰り広げたのでございます。

 一部始終を見せられた旅人はトラウマで、その後ベジタリアンに
なってしまったのでございました。

 その失敗を反省し、あらゆる他者を別け隔てなく幸せにする事を
運命づけられた兎娘は考えました。

 相手に罪悪感や感謝の念を起こさせるような手段で相手を幸福
にしたとしても、相手にとってそれは本当の幸福ではない...

 そして、兎娘は気づいたのです。

 本当の幸福とは、罪悪感も感謝の念も抱かせず、当然の権利
として...いや、権利などというコトすら相手に考えさせずに相手
に幸福感を与え、しかもその幸福感は与えられたものであると
いうコトにすら気づかせないことこそが、本当に他者を幸福にする
ことだということに。ああ、なんという菩薩心でございましょうか!!

 兎娘のとりあえずのターゲットは鮫肌兄弟でございました。

 見るからに凶暴そうな顔つきをしていて、近所からも嫌われ、
実際凶暴で知られ、女日照りが続き、彼女居ない歴=実年齢と
いう、不幸ではあるけれど、同情したくない典型的な連中で
ございます。

 兎娘も、本当は虫酸が走るほど鮫肌男たちを嫌っていたのです
が、周囲に居る者を別け隔てなく幸福にしなければならないと
いう彼女に与えられた至高の使命(ミッション)にとって、そんな
ちっぽけな個人的感情が何ほどのものだったでしょうか?

 兎娘は、女日照りの続く鮫肌男たちに近づくと、たわいのない
嘘でだまして、鮫肌男たちの金品を奪うフリをしました。

 凶暴でバカではあるけれど、根は純真な鮫肌兄弟は、いとも
簡単に騙されたのでございます。

 実は、鮫肌兄弟は、内心兎娘のことを憎からず思っていて、
思いがけず兎娘から声をかけられたとき、「兎娘も自分らに気が
あるのではないか」と勘違いしてしまったのです。

 しかし、騙されたことがわかった鮫肌男たちは、可愛さ余って
憎さ百倍...

 兎娘を捕まえると、早速お仕置きを始めたのでございます。

 お仕置きをされる都度、兎娘は妙に艶っぽい声で悲鳴を上げた
のでございます。

 それが、女日照りの続く、溜まりに溜まった...溜まりきった
鮫肌男たちの冥い欲望に、劣情に火をつけるのは、文字通り
火を見るより明らかだったのでございます...
溜まりに溜まって...もう溜らん!!(ハァハァ)

 それにしても、男というのはなんと悲しい生き物なのでしょう。
とある心理学者が、「男性の性欲とは、攻撃性の変化したもの
である」と言っておりましたが、もしそれが本当なら、男というもの
は愛する者を傷つけずにはいられない。愛するが故に相手を傷
つけてしまう...本当に本当に、なんと悲しい生き物なので
ございましょうか...

 鮫肌男たちの間に、自分らを騙した兎娘には罰を与えるべき
であり、その際、自分らがちょっとくらい気持ちイイ思いをさせて
もらってもバチはあたらないだろう...という、身勝手な同意が
形成されるのに、さほどの時間はかからなかったのでござい
ます。

 そして、鮫肌男たちは、兎娘を思う存分、いたぶり、嬲り、もて
あそび、兎娘の白くて小さなカラダに、自分らの思いの丈を・
熱くて冥い、地底のマグマのような情慾を、女日照りで、彼女
居ない歴=実年齢の溜まりに溜まった内圧を、全て放出しきった
のでございました。

 鮫肌男たちは、自らの正義を実現できたという充足感と、行き
場のなかった思いをぶちまけた後の開放感で満たされ、罪悪感
を伴わない純粋な幸福を・ココロの平安を感じることができたので
ございます。

 それこそが、兎娘の目論見だということに気づきもせずに...

 しかし、鮫肌男たちの、文字通りヤスリのようにざらついた肌を
押し付けられ、執拗に往復運動を繰り返された兎娘の柔肌は、
擦り剥け、削り取られ、血がにじみ、特に下腹部などは血まみれで
真っ赤に擦り切れてしまったのでありました。なんと、痛々しいこと
でございましょう...

 これでこの娘(こ)の、別け隔てなく周囲を幸福にする運命の
物語は終わりでございます。

 そして、ここから、貴方とこの娘の物語が始まるのでございます。

 この娘のことを少しでも不憫に思うのでしたら、どうか、この娘を
もらってやってくださいまし。

 このままでは、この娘は、周囲の全てを幸せにする...
 世界の全てを、別け隔てなく幸せにし続けなければならないと
いう、この娘にとっては重過ぎる、過酷な運命に押しつぶされて
しまうことでしょう。

 どうか、この娘をもらってやってくださいまし。

 そうすれば、この娘は、世界の全てを、別け隔てなく幸せにし
続けなければならない...という運命から開放されるのでござ
います。

 ほぅら、ごらんなさい、この娘も頬を紅らめて、貴方を気に入った
ようでございますよ。

 そうすれば、これからこの娘は、貴方様のみを幸せにしてくれる
...貴方様のみを幸せにすればよいようになるでしょう。

 どうか・どうか、この子を、よろしく頼みますよ。

(買え! 買ってくれっ!!)
(うひひひひひひひひ、\1,700-)

(次回作への資金が要るんだッ!!)

 極東神殿騎士団本殿へ

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